マラソン大会の前夜に娘に読んであげた絵本。
マラソンが苦手で、ずっと不安がっていた娘に、
「あたなにとって たいせつなのは あなたが あなたで あること」と、
その言葉をかけてあげたくて、どんな励ましよりも、この絵本を選びました。
初めてこの絵本に出会ったのは、病院の待合室でした。
3年前の冬、日本に帰省中、娘が中耳炎になって訪れた病院。
冷たく白い壁の中に、真っ赤な背表紙の絵本が1冊。
吸い寄せられるように手に取ってみると、赤いりんごと透明なグラスが1つ、並んで描かれていました。
ここが病院だということも、娘が病気であることも忘れ、まるで暖炉の前でゆったりと読み聞かせをしているような感覚で、夢中になって読みました。
その日から数年・・・。
娘は、「からだと こころを ふくらませ ちいさな いちにんまえに なりました」。
そして、さらにあらゆることを味わって、「おおきな おんなのひと」になる前に、もう1度この絵本をそっと手渡してあげたいな、と思っています。