最初は科学絵本なのかと思って手に取ったのですが、よく見たら、マーガレット・ワイズ・ブラウンさんの絵本だったので、期待して読んでみました。
ヨーロッパのとある街(どうやらハンガリーらしいですね)で、巣をつくりヒナを育てるコウノトリの描写から始まります。
子どもの巣立ち、そして季節がめぐり、冬が近づいてきます。
コウノトリは、南へ向かって旅立ちます・・・。
ヨーロッパの人々は、コウノトリは「幸せを運んでくれる鳥」として家の煙突に巣を作ってくれるのを喜ぶんだそうです。
そういえば、フランス・アルザス地方を旅行したときにも、家の屋根のあたりにコウノトリの巣がたくさんあり、コウノトリはこの地方のシンボルなんだという話を聞いたのを思い出しました。
この絵本は出版がかなり古いものですが(日本語訳は最近のようですが)、現在でもその慣習は依然として残っているのですね。
この本では渡り鳥たちの習性がしっかりと描かれているので、ある意味科学絵本的な読み方もできるかもしれません。
でも、この絵本の中には、豊かな自然と、ゆっくり流れる時間があります。
そして、マーガレット・ワイズ・ブラウンさんのゆったりとした文章も素敵なのですが、挿絵がまた美しいこと!!
ところどころに見開きで絵だけのページがあるのですが、コウノトリの大群が集まっているところや、ナイル川でフラミンゴが群生しているのを描いたページなど、息を呑むほど素晴らしい描写です。
ぜひ手に取っていただきたい絵本です。