2004年10月、中国の西北大学が、西安市内から日本人遣唐留学生の墓誌が発見されたと発表。
そのニュースに私も驚きました。
扉絵に墓誌が写されています。
墓誌には、
姓は井、字(あざな)は真成。
国は日本と号す。生まれつき優秀で、国命で遠くにやってきて、一生懸命努力した。
学問を修め、正式な官僚として朝廷に仕え、活躍ぶりは抜きんでていた。
ところが思わぬことに、急に病気になり、開元22年(734年)の1月に官舎で亡くなった。
36歳だった。
皇帝は大変残念に思い、特別な扱いで埋葬することにした。
体はこの地に埋葬されたが、魂は故郷に帰るにちがいない 。
この墓誌は、考古学の調査で見つかったものではなく、西安市内の工事現場で土木機械により偶然掘り出されたのです。
墓も副葬品もそのとき破壊されてしまい、機械で傷付けられたため上部1字分が欠落した墓誌だけが残りました。
これは中国で発見された最初の日本人の墓誌、そして無名の人として海外で亡くなった一日本人の最初の発見例として考古学的に位置づけられています。
遣唐使という事業の危険と背中合わせの困難さ、たどり着いた先での“学ぼう”とする真摯な姿勢、その先には故国日本への愛国心、胸を打つものがあります。
歴史に名前が良くも悪くも残るのは、ほんの一握りの人間。
名も無き日本人の、懸命な生き方を学べる素晴らしい作品でした。
小6の息子にはタイムリーだったようです。