『病気の魔女と薬の魔女』の第3巻。
ワッカ先生の地下室にかくまわれているポックス(天然痘)の魔女は、
修行中のローズを学ばせるため、時間を巻き戻します。
主人公のローズは、アン、サラとともに、19世紀のコレラ世界大流行の現場で
病気と対峙するのです。
未知の病、コレラに対して、粘り強く探求する三人は、
やがてコンタギオン(病気の種)の正体を明らかにしていくのです。
水の大切さもよくわかります。
今では常識になっている感染症の対処法も、
一つ一つ検証を重ねて実証された尊い賜物だということがよくわかります。
また、サラが「お料理は健康の源」と言っているように、
食事の大切さもよくわかります。
筆者がパリの施療院を訪問し、当時の様子を体感した経験から生まれたファンタジーだけに、
とてもリアリティがあります。
感染症についても、深く考えるきっかけにもなりそうです。
病気の魔女たちの容姿や行動で、病気の姿が目に浮かびます。
ローズやアンが粘り強く調べ上げた発症者の分布図は、
まさしく科学的探求の手法です。
そのあたりも体感してほしいです。
もちろん、暗い話ばかりではなく、おいしそうな料理が登場するのもうれしいです。
女の子たちの友情もしっかり描かれているのもいいですね。