ハヌマンはインドの猿の姿をした神です。ハヌマンの幼い頃のエピソードが内容になっています。風の神ワーユの子供ハヌマンはおひさまで遊びたくなって、飛んでいきます。助けを求めるおひさまの声を聞きつけた、神々の王インドらがハヌマンを突き落とします。地に落ちたハヌマンはピクリともしません。それを悲しんだワーユは姿をかくしてしまいます。そのため大嵐となり、そのうえ、空気がなくなって生き物はみな死んでしまいました。あわてたインドラはワーユを探し出し、慰め、ハヌマンは死んだわけではないと、説得します。それを聞いてワーユはこの世にもどり、世界は元通りになりました。
絵が魅力的な絵本です。いたずらなハヌマンはかわいい顔をしています。インドラの乗ったゾウのアイラーバタが私は特に好きです。また、ハヌマンにしろワーユにしろ、神々の名前は響きに魅力があります。
どこの国の神話でも神さまは人騒がせなことが多く楽しいです。神さまといいながら、結構ドジで失敗が多いことが逆に親しみ深く、魅力的だなと思うのです。
以前、美智子皇后がインドで「神話は不思議とその国の性質を表している」といった趣旨のことを話されていました。確かにそうだなと思うのです。そういう意味でも他国の神話を知ることは楽しいし意義があることだと思います。
幼いうちにさまざまな国の神話に触れることによって、大きくなってから、いろいろな国の人に親しみをもって接する基礎になるような気がするのです。