小学校中学年の教科書掲載作品だそうですが、メッセージが理解しにくく、何を言いたいのかよくわからず、息子と読んでいる間中、わたしの中にはクエスチョン・マークが飛び交っていました。読み終えて「自分自身でいることの大切さ」をうったえる作品かなと理解したのですが、実はよくわかっていませんでした。あえていえば、現代の疲れた大人向けのメッセージ絵本?というような印象でしょうか。シンボリズムを多用し、何かにたとえて物語を展開させているのですが、そのひとつひとつが何を意味するのか(たとえば、ねこたちの「あはははーー」の笑い、「ライオンの冗談は昼寝が趣味」など)かえって余計に思え、わかりにくさになってしまっている。そんな感想を持ちました。(カテゴリーは異なりますが、表現手法は現代短歌に通じるところがありますね。)
ところが、息子の方はちゃんとメッセージを受け取っていたようで驚いてしまいました。作者は何を言いたかったのだろうと翌日になって私が聞いたら、「depressed(落ち込んでいる)している人がいたら、優しい言葉をかけてあげること」と言っていて、へえ〜そうだったのか……と感心してしまいました。子どもはちゃんと心で受け止めていたのですね。(光村ライブラリーというシリーズ本で読んだので)巻末の解説を読むと、ちゃんとそのように解説されていました!
しかしながら、この作品がなぜ教科書に?という疑問はいまだ持ち続けています。同じことを伝えるにしても、もっとすっと心に入る作品は、いくらでもあると思いますが……。親の視点から見ると、遊び心を持って現代風にアレンジされた抽象画のような作品でした。