個人的に「3匹のくま」のお話には小さな頃から魅せられているので、この絵本となると(しかも日本語!)飛びついてしまいます。バートンのイラストは、まるで色紙を切って貼り合わせたかのような印象を与えるデザイン的なもの。くっきりはっきり明るい色合いの描写がとてもわかりやすく、小さな子供たち向きの画風です。で、彼の「さんびきのくま」もそんな一冊。イラストばかりでなく文章も、これ以上省けないというところで表現しているので、これまた小さな子供たちにはぴったり。というか、この文章はストーリーテリングで使用される表現そのものなので、シンプルで理解しやすいのは当然と言えば当然かもしれません。
わたしがこのバートンの絵本で感心したのは、邦訳でした。金髪の女の子が「きんいろまきげちゃん」、くまたちはそれぞれ「くまとうさん」「くまかあさん」そして「くまぼうや」。何気ない訳かもしれませんが、このお話にぴったりです。特に「きんいろまきげちゃん」には感動しました。なかなかこうイメージとしてぴったり合う名称ってないと思います。
娘はこの絵本で「さんびきのくま」を楽しむようになってから、実際の(自分の)ものを持ち出して「これは小さいくまさんのおわん、スプーン、ゆり椅子、ベッド……」と自分がきんいろまきげちゃんになったかのような動作で状況を楽しみます。とくに割れ目の入ったくまぼうやの緑色のゆり椅子が気になるようで、自分のゆり椅子は壊れないよ〜と自慢してなのか、安心してなのか、とにかく揺らして見せてくれ、それが可愛い。思わず娘と一緒になってサイズの違う「くまワールド」に入り込んでしまうのでした。