胸にグッときてせまるものがある、想いと力のこもった絵本でした。美しいです。絵から伝わってくるものが大きいです。
初め、「池」が感情を持っているのに驚きました。最後まで読んで、池が叫び、動ける身体を持ち、白鳥になるという展開でなるほどーと思いました。池が白鳥になる、すごいです。想いが深ければ、なんだってどうにでもなるのだ、とそういう気持ちになりました。絵に描かれた白鳥の空を飛んでいるスピード感、遠くまで飛んでいける自由な感じと、池の、ただそこにじっとある静かな感じの対比がこの変化の大きさをより際立たせています。
池の想いの深さとは何だったのでしょう。「この傷ついた白鳥を、はるばる遠い地まで、たった一羽で行かせたくない、ついていってあげたい、どこまでも・・」最初は、そういう「優しさ」だと思いました。でも、これは「恋」だったのですね。だって池は、白鳥の旅立つ気配を感じて、胸が「きゅん」とつまるのですから・・。ものすごいラブロマンスのお話だと思いました。
好きな人に一番大事なことが言えなくて、自分で自分に腹をたてて、俯いている人がいたら、ぜひ紹介したい絵本です。