【あらすじ】
月に一回くらいしか風呂に入らない汚いコブタ、ジュールの、愛と成功の物語。
思い人、ジュリーは、不潔なジュールが大嫌い。ジュールがありったけの勇気を振り絞って告白しようとしたその時、ジュリーは引っ越すことになってしまいました。無情な展開に失望し、更に運悪くオオカミに二人とも食べられそうになる。
意外な展開で、ピンチを切り抜け、その後には…
【感想】
今までに体験したことのない、強烈な汚さと、妙な展開にショックを受けた一冊。こんな変な絵本が世に出てくるなんて、時代は本当に変わった!
ユーモアや、ギャグ、皮肉やそのほか、「子どもには不適切」と勝手に親の世代の人々に切り捨てされてきた様々なものが、いよいよ解禁されたと感じました。
そうそう、まず、不潔だと女の子にモテません。
そして、不潔でバカで、変で、嫌われている人に限って、自分は正しいと思っている。それもキモイ人の特徴ですね。
この本、実に現実を正直に見て、容赦なく表現しています。
そして、気色悪いけど、きわめて平和的な方法で、ピンチを打開する場面は、新しい時代の到来を感じさせます。
戦争や暴力などとは違う、新しい方法…といっても、マネしたいとは思わないけど、誰も傷つかない方法で、悪い人を退散させるのが、素晴らしい!
そして、素晴らしいけど、全然尊敬できない、新しいタイプの主人公(ヒーロー?)。
最後は適当に、簡単な展開で、不潔人間を脱出できた(?)上、ハッピーエンド。なのに、後味が良くない。気持ち悪さが残るという、絶妙の味わい。
どれをとっても、一度体験していただきたい、全く新しい芸術作品でございます。