昔、読んだことがあったのですが、最近、久しぶりにこの絵本の読みかたりを聞きました。
昔読んだときにはおそらくまあ感動的な話だなという程度の感想だった気がするのですが、あまり印象に残っていませんでした。
今回、改めて読んでもらい、強烈に違和感を覚えました。
最初の方、この絵本の男の子が小学生位まではまあ、いい感じなのです。やんちゃな息子に手を焼いているお母さん、だけどやっぱり愛する我が子、というのが伝わってきます。
しかし、彼がティーンエイジャーになると、徐々に違和感が…
思春期真っ盛りの息子が寝静まってから、部屋に侵入し、抱き寄せて「私のかわいい赤ちゃん」と歌う…
私にも中学生の息子がいますが、部屋に入ろうとも思いませんし、ましてや抱っこしようなんて考えられません。
あろうことか、このお母さん、息子が独り立ちしても、「不法侵入」して、成人した息子を抱っこするのです。こうなると何だか狂気を感じます。
どうしてこれが感動的な絵本として人気なのだろう、と思って皆さんの感想を見ると、やはり賛否両論激しいですね。
私のように「キモッ!」と思っている感じの女性が多くて独りじゃない、と安心しました。
どうしてこのような絵本を作ったのだろうと、作者の方の背景も調べました。それで何だか納得しました。
ジェンダーバイアスかもしれないということを百も承知で書かせていただくと、男性が母親に持つ幻想というか、そのような都合の良い母性の象徴なのだろうな…と。
この絵本は子ども向けじゃないよな…と以前からぼんやりと思っていましたが、むしろ成人向けとゾーニングしても良いくらいだなと感じました。いずれにしろ、愛情を抱き、育む側からの視点で描かれているので、子どもにとってはこの絵本に描かれている愛情は重すぎると思います。子どもにとって、あまり健全な表現とは言い難いです。皆さんの感想を見ていても、「大人として」この絵本を心の支えにされている方は多くても、子どもさんの反応が良い本とは言えないなと感じました。
どうして昔はそこまで違和感を感じなかったのに、なぜ今、こんなに変だと思っているのかなと考えてみました。
おそらく、私は昔、この母と息子を具体的な人間ではなく、親子の愛情の象徴として記号的に読めていたのかもしれません。しかも既に成人していたので、子ども目線ではなく親目線で読めていた、と。
しかし、実際に息子を持つ身となり、この2人が非常にリアルに人間として感じられ、無理ムリムリ…!!となったのかな…と。
長くなりましたが、結論として、大人で好きな方にはまあ良いかもしれませんが、子どもに積極的に読ませる絵本ではないかなと思います。
そのことが分かりやすいように、星1つにしておきます。
それにしても、読みかたりをされた方が、本文中何度も出てくる歌にメロディーを付けて読んでくださったので、今でも頭の中に流れていて…何とも言えません…