こわがりな息子5歳の時に読んだ絵本です。
表紙を見て『コワッ!』、さらに開いて、ごっつい怪獣満載に、『これは、泣いちゃうな。』って思いましたが、『きみなんかだいきらいさ』のモーリス・センダックさんの作品ですし、コールデコット賞金賞受賞作品だというので、首を傾げつつ購入しました。
いたずら、やんちゃなマックスが、母親におこられ、夕食抜きで寝室へ放り込まれ…。
ぜーんぜん、反省の様子もしょぼくれることもなく、マックスは、空想の世界(かいじゅうたちのいるところ)へと…。
息子のそれまで見たことのない、恐ろしく怖い絵。『息子はどうするか?泣くだろうな?』と思いましたが、黙って聞き入って、絵を見つめていました。
超恐ろしい怪獣たちを従え、悠然たるマックスの様子に笑顔で指さし、笑って、とうとう最後まで読みました。そして、「もう一回!」コール×5でした。
出版当時、大人には酷評を浴びた作品だったそうですが、こどもたちの絶大な支持を受け、受賞となったそうです。
なぜ、これほどまで、こどもたちにうけるのか、久々に読み直してみました。
“子どもは、空想と現実とが柔軟に交じりあった世界を信じて、二つの領域の間をぴょんと渡ったり、戻ったりする。”
“自己の問題に対処するため、冒険の旅に出るが、帰るえるべき港(温かい母の愛情)があって初めてその冒険は可能になる[母胎回帰]。”
という、モーリス・センダックさんの談。
なるほど、マックスが、怒られた気持ちをどうにかするため、空想の怪獣の世界に行って、怪獣たちの王様顔で、大暴れしたんですね。でも、その後なんだかさびしくなっちゃう。そのとき、美味しいにおいが、マックスの里心を引っ張って現実へと帰ってくる。
こどもたちにとって、超恐ろしい怪獣を操るマックスは、勇ましく羨ましい存在で、でも、ちゃんとお母さんの料理の食べられる世界に帰ってこれたから、子ども読者たちを安心させてく、れ満足させてくれているんですね。
繊細なペン画?落ち着いたシックな色調。表情豊かなキャラクターたち。怪獣の中に人間の足をしたのが一匹。月の形の変化。どれもこれも、配慮の行き渡った大切に描かれた作品ですね。
今私の横を通った息子が、「僕のお気に入りじゃないか。なつかしいのう〜。」と一言。
ファーストインプレッションで、嫌わず、開いてみてください。