一般書と絵本であれば、どちらの方が作品として長生きするだろうか。
一般書の場合古典と呼ばれて長く読み継がれる作品がある。絵本の場合、古典という呼び方はあまりしないが、親子三代にわたって読まれている作品があることも確かだ。
アメリカで生まれたこの絵本もそんな一冊だろう。
何しろ初めて出版されたのが1947年、つまり第二次世界大戦が終わってわずか2年のこと。
日本でいえば、団塊の世代が生まれ始めた頃だ。
そして、その翌年にはこの絵本はコールデコット賞を受賞している。
実はこの作品を読むまではそんなことは知らなかった。
ある書店でこの絵本が「面陳列」(表紙を見せて陳列する方法)していて、てっきり新しい絵本だと思って読んだのだが、それが自分の年齢よりも長く読み継がれていた作品だったことに驚かされた。
同時にそんな絵本を「面陳列」までした書店員さんのセンスに感心した。
この絵本に登場するのはお百姓さん、郵便屋さん、おまわりさん、しっかり者のその奥さん。そして、雪が大好きな子どもたちにうさぎたち。
彼らは雪が降り始める気配をそれぞれ違った方法で感じる。
例えば、お百姓さんなら雪のにおいから、しっかり者の奥さんは雪の前には足のつまさきが痛むといったように。
この絵本の素晴らしいところは、こんな風に登場人物たちそれぞれが固有の世界を生きていて、それを感じることができるということ。
まるで重厚な長編小説の味わいを感じる、そんな絵本の名作だ。