アメリカの古き良き時代の慎ましやかな暮らしを、淡々と語ったおはなしです。家族が一年を通して作り育てたものを、10月、お父さんが荷車に詰め込んで街の市場へ売りにいきます。そこで得たお金で家族のために必要な買い物をし、家族の待つ家に帰る。そしてまた新たな一年を始めるのです。シンプルに暮らしたいと願う現代の私たちにとって、お手本のような生活です。何度読んでも心豊かな気持ちになります。
とにかくバーバラ・クーニーの絵が素敵です。ポーツマスの町、市場や店、お父さんが行き帰りにたどる村や丘、小川の風景、家族の住む農場や家の内部など、どのページも額に入れて飾っておきたいくらいに美しく、素晴らしいです。
子どもたちもこの絵本を読むと、決まって絵に釘付けになっています。自然と共に生きることの素晴らしさを、この絵本から感じ取ってもらえたらなと思います。