1973年刊行。
親の手伝いもせずに、こまったことばかりしている20匹の子ブタたちが、家の近くの原っぱで「赤い根っこ」の植物を見つけて、大騒ぎする話。
お話は単純明快、人参の効能で、いっぺんに「いい子」になってしまった子ブタたちが、親孝行や社会貢献をする展開。
しかし、後書きを読むと、考えさせられる。
作者が、1973年の刊行時から、20年前(1953年頃?)に体験した「子ども会」の活動がきっかけでできたお話。
いろんな事情の子ども達と接する時に、その子どもたちが連日、持ち込む悩み事の「対処療法」として、紙芝居やお話、絵物語などを作っていたという。
作者は、「予防医学」として機能する作品も、「対処療法」としてその時に必要な作品も、両方必要だと書いていた。
素晴らしい信念を持っていると思った。
・10年、20年後の子ども達や世の中が、楽しく豊かに。
・目の前の子どもに必要なことを工夫して提供する。
筆者の作品が、時代を超えても読み継がれ、年代を越えて多くの愛好者がある理由がわかる気がした。
教育的な内容の児童書はなかなか、不良の私には読みにくく感じることもあるが、本書は、教育的な内容だとわかっていても、楽しいお話として素直に受け止めることができた。
筆者の込めた純粋な思いが、数十年の時を経て、2023年に中年をやっている私に届いた。ありがたいことだ。
大人に、特に、あとがきを読んで欲しいと思う。