読むたびに、胸にしみてくるような静かな感動を覚える絵本です。
主人公「あや」は10歳。あやの優しい行いが、花を咲かせるという花さき山の存在は、どれほど「あや」を勇気づけたことでしょう。
花さき山は自分を見ていてくれる・・と思うだけで、あやの「がまん」は自己犠牲でなく、無償の愛に変わることができたのではないでしょうか。幼い妹のために、祭りの着物を我慢したせつなさも、花さき山はわかってくれていた・・その場面は、読みながら思わずジーンとしてきます。
子どもにとって、「愛されている、見守ってくれている」との揺るぎない自信を持つことは、とても大切なことなのですね。あわただしい日常の中で、私は母として、どれほど子どもを見ていたのでしょう。見える事だけでなく、見えないことにどれほど目を向けていたのでしょう。
花さき山はたくさんのことを語りかけてくれます。