表紙の女のこの目が、じっとこっちを見つめています。あまりにますっぐすぎて、なんだか一瞬ドキッとさせられます。
遊び友達がほしくって、朝からずっと、草原で追い求めますが、みんな彼女が近づくと、逃げていってしまいます。
押してだめなら、引いてみる。というわけでもないのでしょうが、やがて女の子は、じーっと座り込みます。すると不思議なことに、さっきまで怖がって逃げていった者達が、みんな彼女のまわりに集まってくるのです。その時の、女の子の笑顔が、すーっごくかわいくって、いい顔なのです。表紙の顔と、対照的で、とても印象に残ります。
それともうひとつ、この絵本のいいところは、時間が実にゆっくりと過ぎている感じがするところです。私の子供の頃の時間の感覚って、この絵本の女の子のように、ゆっくりで、確かに遊び友達が見つからずに、一人でぼーっと塀の上に登り、道行く人を飽きずに眺めていたりしたものです。何だかその頃が、ちょっと懐かしくなりました。