1980年銀河社出版の再販。
一人、村はずれの洞穴に住む ほうすけ。
村の墓地を守り、嫁入りのとき、葬式のときはきれいな声で唄を歌う ほうすけ。
村人たちは、貧しいながらも穏やかに暮らしている。
ある厳しい冬のこと、ひもじさに耐えられず、めんどりを盗んでしまう ほうすけ。
冬の辛さに気が立っていた村人たちは、皆で ほうすけを痛めつけてしまう。
何も言わず、手向かいもせず、ふところに何かを大事そうに守り、されるままになっていた ほうすけが、春になって村へやって来たわけとは・・・
ほうすけの、あまりにも穏やかで控えめな存在に村人たちが気づいた時はもう・・・
奇をてらわず、丁寧に綴られている絵本。
さすが、谷川 俊太郎氏の心地よいリズム。
梶山 俊夫氏の抑えた色使いの絵。
たいまつの炎、ひよこの黄色が生き生きと響いてくる。