この絵本の文章は、主人公の女の子・リディアが書いた手紙だけ。
けれど、手紙ならではの素直な言葉と、広がりのある背景の優しい絵から、
多くの文章よりもずっと、様々な状況や彼女の気持ちが伝わってきます。
生活が苦しいとはいえ、女の子がたった一人で親戚のおじさんの家で暮らすなんて、
心細く、不安でしょうに、リディアはちょっとできすぎた位の女の子。
それを周りに心配させまいと健気にふるまい、
いつも笑わないおじさんのためにある計画を進めます。
リディアがこんなふうに振舞えるのは、
おばあちゃんとのガーデニングで、
心をこめて、手をかければ、花が咲く、
その花を見ていると自分も笑顔になる
という喜びを体験していたからではないでしょうか。
「美しいものについて、今まで教わったことをぜんぶ思い出して作りました」
この手紙を読んだ時、おばあちゃんは胸がいっぱいになったのではないかと思います。
ページをめくるうちに、リディアの周囲の人達と同じように、
私もまた、リディアの明るさ、生命力、優しい気持ちに巻き込まれていきました。
だから、ラストシーンの絵はもう、たまりませんでした・・・。
今の状況も、この絵本と同様あまり明るいものではなく、
私自身、漠然とした不安があります。
でも、自分の不安にばかり目をむけていないで、
にっこり笑って、できることがあるのでしょう。
子ども達の笑顔のために、リディアのようにありたい、と思います。
実際には子ども達から元気をもらっていることが多いのですがね。
残念ながら、息子達には少し難しかったようです。
小学校中学年位(私のリディアのイメージは10歳位)から、
大人の方におすすめです。