いつか読みたい、と思いながらも読んでいない絵本でしたが、2歳の今、読んであげてよかった、と心から思いました。
夜、眠りにつこうとした男の子がお母さんに語りかけます。
「おかあさん、あのね・・・」
よるくまという、かわいいくまの子がうちに来たこと。
よるくまは、寝ている間にいなくなったお母さんを探しに来たのです。
男の子は、いっしょにお母さんを探します。
お母さんと会話しながら、ストーリーは進んでいきます。
『よるくまのお母さんが、黙って夜中に子どもをおいて出かけてしまった・・・
寂しがって泣いていたのに、お金の話? 自転車の話?』
・・・という解釈もできますが、私はそうは思いませんでした。
よるくまはきっと、主人公の男の子の「心」が作ったもの。
きっと、男の子のお母さんも、働いているのですね。
本当は、保育園やお父さんなどに預けたりしているに違いないのです。
「お母さんが僕を置いていなくなった」のが事実ではなく、
「主人公の男の子がそう思ってしまうくらい、寂しい思いをした」という象徴だと思うからです。
でも、だからといって、「働くママは、子どもにこんな思いをさせているのか」なんて思わないでほしい。
だって、この絵本に出てくるお母さんと同様、世の中の働くお母さんは、
子どもが寝る前のつかの間の時間を惜しんで、精一杯子どもと向き合い、話を聞いてやっているんですから・・・。
だから、ほら、男の子は最後に眠りにつくとき、満足感でいっぱいの、とてもいい表情をしています。
自分の空想の世界を否定せずに聞いてくれたお母さんに、「愛されている」という満たされた気持ちなのだと思います。
一緒にいる時間の長さじゃない、その濃さを大事にしたい。
働くのはお母さん自身のためだけじゃなく、家族のため、ひいては子どものためでもあるのだから。
お父さんとお母さんが働くから、ご飯が食べられるし、服や自転車も買えるし、旅行に行く余裕だってできるし、
大きくなって、なりたい職業や夢ができたら、そのための教育を受けさせてあげられる。
その生活のゆとりは大人のためだけじゃないのです。
だからといって、子どもと過ごす時間をないがしろにしているわけじゃない。
子どもも、立派な家族の一員として、ポジティブに輝くパパとママの背中を見ながら、
元気に保育園(や幼稚園)に行って、お友達といっぱい遊ぶことが、仕事でもあるのです。
時には、寂しい思いをする事もあるけど、こうやって絵本を読んで、満たされて眠りにつくことができれば、子どもも分かってくれていると確信しています。
息子も早速お気に入りになりました。
最初は「ママ、いないでー」と言いながら聞いているのですが、
最後には笑顔で「ママ、おったねー」って言います。
よるくまのお母さんのように「明日は○○しようね。だから今日はもう、おやすみ」と言って電気を消すと、落ち着いて眠ります。
保育園大好きな息子だけど、先にお迎えに来たお母さんとお友達を見ていると複雑になったり、友達とケンカして泣いたり、いろいろあるのだと思う。
だからこそ、明日への希望や楽しいことを言って眠るのって、とってもいいと思います。