最初の読後感は、とにかく懐かしいということ。
全体を通じて、昭和をイメージさせるのですが、それは、登場するカミナリじいさんという存在によるのかなと思います。
物語は、ラジオ体操に参加したマナブ、ヒデトシ、ぼくが、帰り道のクヌギにカブトムシを見つけるシーンで始まります。
そのクヌギに登ってカブトムシを取るのですが、そこに登場したのが、カミナリじいさん。
クヌギの木は、じいさんの庭にあったのです。
「こらぁっ!なにを やっとるか!!」
この一声に3人とも逃げ出すのですが、最初に逃げたヒデトシが転んでしまいます。
逃げ切ったぼくとマナブは、ヒデトシのことを思い、心の葛藤が始まります。
出した答えは、ヒデトシを助けに行くと言うこと。
その時の言葉が、題名になっている
「ともだちやもんな、ぼくら」
ちょっと出来すぎとの感もありますが、読み手を完全に惹きつける展開です。
思い切って謝った瞬間のドキドキ感は、一緒になって手に汗握るものでしょう。
その後の展開は、読んでのお楽しみですが、その清清しさは、何とも言えないもの。
間違ったことは素直に受けとめて、謝ること。
友達を思うこと。
勇気をもつこと。
いろんな要素があって、小学生にとって、とても感銘できる作品だと思います。
昨今は、モンスターペアレンツ等の言葉が定着し、人のことを注意出来なかったり、そもそも、近所の関係が希薄になってきているので、こんな存在のじいさんは、希少価値かも知れません。
でも、それは、その子供のことを思ってのことであることを理解したいもの。
自分自身、注意できるじいさんを目指したいと思いました。
小学校低学年のお子さんにオススメします。