自然破壊、あるいは、もっと身近なペットの問題でも、人間の身勝手さ、冷酷さに胸が痛むこともしばしばですが、あまんさんの作品はどれも人間のやさしさにあふれていて、あったかい気持ちになれます。
こぎつねふうたの純粋さやいじらしさもひしひしと伝わってきて、娘も、ふうたは大丈夫かな?と、心配するようなまなざしで見つめています。ふうたが、人間の子になるためのおまじないをする場面では、まついさんといっしょになって、両手で顔を覆い、どきどきしながら次のページをめくるのを待っていました。そして、終わりに近づいてくると、不意に「きつねさんはどこ?」と、聞く娘。「ふうたは、きつねさんに戻らないの?」と、急に新たな心配が押し寄せてきたようでした。
お話は、ふうたがまついさんの腕に抱かれたまま、余韻を残して終わっています。