「ぼくのパパだよ。ジョニーっていうんだ。」
そう繰り返すティムの誇らしげな声が聞こえてきそうです。
私は ある講座のなかで 講師の先生に読んでいただくかたちでこの絵本と出会いました。途中から涙があふれてこまりました。まわりからもずずっと鼻をすする音が・・・
ティムの両親は大人どうしの都合で一緒に暮らせなくなってしまった。でも今日はひさしぶりにパパと一日いっしょにすごせるのです。ホットドッグ屋で 映画館で ピザを食べに行ったレストランで 図書館で ティムは顔見知りの人たちに 誇らしく父親を紹介します。「ぼくのパパだよ。ジョニーっていうんだ」!
ひとときのパパとの楽しい時間。このまま時がとまればいい・・でも 夕方が近くなり別れの時間が近づきます。あとすこし一緒にと入った喫茶店でティムを抱き上げた父親はティムをしっかり抱きしめたまま。
そして列車のなかで息子をかかえあげて彼は大きな声で叫ぶのでした。「この子はぼくの息子です。最高にいい息子です。ティムっていうんです!」
両親が別れてかわいそうなおはなしだから涙がでたのではありません。とんでもない! 子どもから親への計り知れない愛情の寛さ 一途さ 誇らしさ また親から子への愛情の深さ 切なさに ただただ 言葉をうしなうのです
スウェーデンという国は 絵本を「童心にかえるための大切な書物」としてすべての年代の人が大切に扱うという話を聞いたことがあります。確かに。このスウェーデン生まれの絵本は 親と子との 深い深いまっすぐな愛情を描ききって なお余韻を残してくれます。
そうですね・・・ むしろ 大人や 大人への入り口にさしかかった中学生に 触れて欲しい絵本かもしれません。