力を抜いて、楽しめる一冊です。
針金人形の繰り広げる世界。
これ、見る人によっては、「くだらない」で済まされる絵本かもしれません。
けれど、私は、そこに、作者の「遊びを楽しむ」姿勢を感じます。
この絵本を読んでいて、思い浮かんだ事があります。
それは、ある賞のこと。
私は、某デパートで毎年開催されていた、クリエイティブな発想を元に作り出した作品を競う賞のファンでした。
この絵本に登場するハリガネくんのような、いっけんとるにたらないようなものだけど、センスがピカリと光る、遊び心あふれた物たちが、数多く出品されていました。
何の役にもたたないような、ロボット。
確かに綺麗だけど、いったいこれは何に使うの?といったような作品。
明らかに、収納できる部分より、飾りの部分が大きい箪笥。
これは本当に座れるの?と思うような椅子。
けれども、どれもこれも、人の持つ創造力にあふれていて、温かみがあって、
私自身はこういったことを表現することには長けておりませんが、毎年どんな作品が出てくるのか、本当に楽しみにしていました。
けれども、毎年開催されてきたこのコンペが、いつの頃からか、2年に一回ぐらいの頻度でしか開催されなくなりました。
景気が低空飛行を続けているせいなのでしょうか?
(最近は少し上向いていますが)
確かに、生きるためには、遊びより、もっと優先させるべきことがあるのは分かっています。
けれど、こういった、遊びの部分が人の心から消えてしまうのは、やはり残念です。
こういった、人の心の「遊びを楽しむ」部分を呼び覚ます絵本、たくさん出てきて欲しい、と心から願います。