あまりにも体が大きいという事で、谷間の村からはじき出され丘を二つ越えた静かな谷間に鳥たちと一緒に暮らす、大男ボルス。
村から、追い出されたボルスが果たして、村にどんな危害を加えるのかと、読み進めると 彼は何もしていません。
ただただ、かつて住んでいた村の人や、森の中にすむ動物たちや、川にいる魚たちの事を思いやる優しい人物です。
みんなの一日が いい一日 だったかな・・・
みんな、ぶじ 夜 すごせたらいいな・・・
この言葉に彼の心の寛大さと孤独を感じます。
純粋な子どもの目には、彼の人間としての素晴らしさが映っていたのでしょう。
なんの先入観も持たず、近づく黄色い頭巾をかぶった女の子。
この小さな交流がボルスにとって、どんなに嬉しかった事でしょう。
村の大人たちの思い込みによる誤解で、傷つけられた後も村を愛する心を持ち続けるボルスの姿に、なんて綺麗な魂を持った人物だろうと感心しました。
ラストは、村人のボルスに対する警戒心も消え、心優しい人物であることが理解されほっとします。が・・・。
もっともボルスらしい、いえボルスの望む姿になって生き続けられ、ボルスは毎日、いい一日を送れている と思いたいと考えました。