実家にあるのは、私たち三姉妹が散々読んでボロボロになった本。クレヨンで落書きはしてあるわ、ページはバラバラになりかけて漸く何本かの糸でつながっているわという散々な状態です。でも、私たち三姉妹は、この本にものすごく思い入れがあって、とろりとしたトラのばたや、黄色の太いラインに黒い横棒が入っているだけのホットケーキは、なによりも美味しそうに感じられ、よく「サンボのホットケーキが食べた〜い!」と叫んだものでした。
また、私は20年近く前に雑貨屋さんで見つけた、プラスティックで出来たサンボのトラの髪留めを今でも大事に持っていて、児童書好き仲間に自慢したりしています。しつこく付け加えると、初めて私が自分一人で書いた年賀状のイラストは、サンボのトラを見ながら描いたトラでした。
と、私にとっては思い出いっぱいの本だったので、再び出版された時には、見つけてすぐに購入しました。ところが、我が家の子ども達は今ひとつ反応が弱いのです。私がものすごく思い入れる本に限って、そういうことが多いので、私から発散される「いいでしょ、面白いでしょ」という光線が鬱陶しいのかもしれません。