国際アンデルセン賞を受賞した絵本作家、アンソニー・ブラウンの作品です。
病気のおばあちゃんにお見舞いのケーキを届けるため、いつもは入ることを禁じられている森の中へ足を踏み入れる男の子。
森はモノクロです。
葉はすべて地面に落ち、幹と枝だけの奇怪な姿をさらす木々の間を、一本道が森の奥へと続いています。
男の子はそこで次々と、奇妙なものに出会います。
私はこの本、すごく怖いです。
何がって、無表情なおかあさんの顔が。目が点なんです。
子供にとって、あれほど不安をかきたてるものはないんじゃないでしょうか。真夜中の雷。そして無表情なおかあさん。
この本は、小さい子供も、樹のうろが人の顔みたいだね、牛の模様が男の子の頭の形と同じだね、影が動物の形だね、等と発見して楽しむことができます。
でも、赤ずきんちゃん、ジャックと豆の木、ヘンゼルとグレーテルなどの物語を、小さい頃に聞いたり読んだりした記憶がうっすらとある大人が読むと、一層味わい深いでしょう。
木の間に見える、あれは何?
樹皮の模様やまがりくねった枝など、怖いのに凝視してしまいます。
思い出したいような、思い出したくないような、幼い頃の記憶のようです。