新聞の広告欄で目に留まった本です。今回の福島原発事故のことがあり急遽再版されたようです。
トオルは小学6年生。家族でドイツに住んでいます。チェルノブイリ事故の時に母は旅行中でした。
福島の事故の後、チェルノブイリ関連の本を読み、ドイツも汚染されていたことを知りました。
『ベルリンからの手紙』(八月書館)や『見えない雲』『食卓に上がった死の灰』などです。
この本の中にも出て来ますが、食べられるものがなくなったトオル家族は、日本食を食べることになります。
小麦が汚染されたので米・味噌というようになったのです。
これから日本では新米の時期。現在の暫定基準値は500ベクレルとチャルノブイリの時に輸出制限した370ベクレルようも高い基準なのでそれだけでも心配はつきません。
ドイツは大陸ですから、汚染からは逃れようもなく、それは今回の日本でも同じですが。
過ぎたことを悔やんでも仕方がないのですが、どうしてこの時にももっと真剣に原発のことを考えなかったのでしょう。
読んでいるとどうしても今の日本の現実と重なって心がざわつきました。
トオルの母はそんな中妊娠してしまいます。
新しい命を授かって嬉しい半面、この時期にという戸惑い。母親であるなら誰しもそう思うことでしょう。
それでも、どんな時でも明るさと強さを忘れない家族であることに救われる思いがしました。
明るい方を向いて歩くこと、とても大切なことだなあと思いました。