風の子がストーブを購入して、ひめねずみと友達になり、
あったかい暮らしをするまでは、
他愛のない可愛い話なのかな、と思って読んでいました。
ところが後半の切なさときたら・・・。
なんの文句も言わずにひとり残されたひめねずみの、静かな悲しみ。
そして風の子が大人になって帰って来ると、
もう懐かしい明かりの大事なストーブは小さすぎる。
そして自分の友達だったたったひとりのねずみのかわりに、
代替わりした知らない1000匹のねずみがいて。
かつては一緒にあたたまり、一緒にご飯を食べたのに、
もう何もかもがあまりに遠い。
もう戻らないものの大切さに、何度読んでも
のどに熱いものがひっかかり、涙ぐんでしまいます。
降矢ななさんの絵のなんと豊かなことか!