随分昔に、愛読していた絵本の雑誌で、キーツさんの特集をしていました。
そこで初めてキーツさんのことを知ったのですが、とても印象深く、またとても「いいなあ」と思ったので、勝手に私はキーツさんのファンよ!という気になっていました。
でも、「いいなあ」と思ったくせに、読んでいなかったのです。
今回初めてきちんと読み、やっぱり「いいなあ」と思いました。
とても素朴で、とても自然で、とても温かいのです。
ピーターが、自分の物が何でもピンクに塗られていくのを見て複雑な気持ちになるのもよくわかりますし、まだ手を付けられていない椅子だけは守り抜こうと思うのもよくわかります。
そして、ピーターは自分で戦った挙句、自分で自分の成長に気づき、自分で過去と決別(というとちょっと大げさですが)するのです。
親に説得されるのではなく、自分で納得して、椅子を手放すところがなんともいいのです。
読み終わった時に、上の子の切なさ、いじらしさだけでなく、清々しい成長を感じることができる作品です。