2012年度青少年読書感想文全国コンクール小学校高学年の部課題図書。
酒井駒子さんの装丁が、一気にファンタジーの森へ誘ってくれるようでした。
主人公、小6の少年、響が語ります。
その語り口が、響の気持ちをストレートに伝えてくれ、共感できました。
響は新学期早々、父の転勤でアメリカに引っ越すことになるのです。
留守番中、裏庭に続く森に人影を見つけた響は、森に入って、
妖精のような少女デイジーに出会います。
英語もまだ不得意な響と、声を出さない少女の交流が始まります。
森の動物たちとの出会いの感動の共有など、響はデイジーとコミュニケーションをとろうと工夫します。
そのツールに使われたのが、紙芝居。
これは素敵です。
そのうち、デイジーの母とも交流が始まりますが、
終盤、物語はデイジーの秘密によって急展開します。
幼少時母を亡くして、父や祖父母たちと一緒に暮らしてきた響の生い立ちも心に迫ってきます。
デイジーが遺した小枝と小石の言葉が、印象的な余韻でした。