あ、これ、詩なんだ。
絵本の文みたいだけど。これは谷川俊太郎さんという詩人の「あなた」という詩なんだ。
だから、言葉を読んで、次から次へと読んで、その時々に「ドキン」としたりして。
それはこんな言葉。
「どんなわたしでも わたしは いつも わたし/どんなあなたでも あなたは いつまでも あなた」。
それから、
「いっしょにいると たのしい あなた/いなくなると さびしい あなた」。
詩っていいな、と思う。
言葉って乱暴にさわると壊れてしまいそうだから、そおっとそおっと。
そんな詩に絵を描くのって大変だろうな。
この絵本の、いえこの詩につけられた長新太さんの絵はきっと長さんが谷川さんの詩を読んで、心に感じたことが表現されているにちがいない。
もしかしたら、この詩に絵を描くとして、わたしならわたしの、あなたならあなたの絵ができるのではないか。
詩ってそういうことを否定はしない。
大きな声で賛成もしない。
そういうことがさも当然のような顔をしてそこに在るような気がする。
でもこうして詩と絵ができあがって、やっぱりこれは絵本なんだ。
ページをめくって、言葉を読んで絵を見て、誰かにこの絵本のことを話したくなる。
その相手は、きっと「あなた」だ。