大学進学を決めた稲葉。宝石展で強盗にまきこまれ、千晶の前で能力を見せる稲葉。それでも受け止められ、読者も安心できます。
凶悪犯の前で、生徒を守るために怪我をして、自分だけおとりになって逃がす千晶先生。とてもかっこいいです。
強盗犯も自分の過去にこういう先生がいなかったことを恨んでも仕方ないのに、曲がったまま成長してしまうとこうなるという見本のようです。
青木先生は今回も相変わらずで、こんな重症で入院中の千晶先生に向かって「こうなる前に生徒を助けるべき!」と上っ面で文句まで言っている偽善者ぶりにはがっかりします。稲葉のせりふで言わせていますが「青木先生なら、犯人に、自分はどうなってもいいから子供たちは助けてくださいって言うだろう。でも犯人にいいようにされて、そう言っただけで終わるだろうな」ということを言っています。これはとても的を得ていますね。奇麗事を言うのは簡単。でも、自分にその力があるか?全員守れるか?というのはよく考えたほうがいい。
そして、今回は仲間を見捨て自分だけ生き延びようとした香川が自分の良心のせいで落ち込みます。自分を恥じるように生きてはいけないと教えてくれる本です。大人にも子供にもおすすめ。