柏葉さんの作品はどれをとっても素敵です!
今回の短編集もまたよかった!!
テーマは面白くて切ない九つの家族の物語。
他の作品に比べると主人公たちの年齢がかなり高いですが、過去に戻って、子どもの頃の話をしたりするシーが多かったので、小学生くらいのお子さんたちが読んでも、十分共感できるお話だと思います。
時にはタヌキやキツネ、時には山の神さま、時には鬼子母神信仰などが、今現代を生きる若者たちにとって、
「そんな昔話みたいなこと、ありえない」って、言いたくなるようなことが突然起きたり、過去に起こっていたことを知ることになったりするのですが、
“それ”を聞いた主人公たちはあながち全否定はできない状況にあるので、読み手は主人公たちと一緒に悩んだり、ドキドキしたりすると思います。
第1話の「タヌキ親父」は中でも一番よかったです。
おとうさんのセリフで
「昔は、人間と動物がとても近く暮らしていたということさ」というのがあるのですが、この作品集を一言でいうと、こんな感じなんだろうと思いました。
どこかの雑誌で読んだのか、別の短編集で読んだのか、
この本に収められていた9つのお話のうち、
「ザクロの木の下で」と「鏡よ鏡」と「父さんの宿敵」は読んだことがありました。「父さんの宿敵」はラストがものすごくビックリしますよ〜。
それぞれがとても読みやすい短編なので、小学校の中学年以上なら十分ひとり読みもできると思います。