子どもの頃に読んだのですが、読み返して感動しました。
トノサマガエルのブンナは、他の仲間よりも木登りが得意で、それを自慢していました。
ある日、だれも登れない高い椎の木のてっぺんまで登ります。
そこは、怖い鳶のえさの貯蔵場所でした。
土にもぐって休んでいたブンナの上に、鳶がつかまえた雀やねずみやへびなどが運ばれてきます。
ブンナにとって怖い存在の、ねずみやへびの話を盗み聞きしているうちに、ねずみたちにも自分と同じように、優しい母や恐ろしい敵がいる弱いところがあると知ります。
鳶のえさになる動物たちのやりとりが、本当にそういう会話をしていると信じたくなるような真実味を感じます。
緊迫した駆け引きがあったり、土の中のブンナにも危機が訪れたり、息つく間がない展開です。
ブンナが命について深く深く考えているところは、心に沁みてきます。
ブンナと一緒に冒険し、成長できると思います。
決してお説教くさい内容ではありません。
今、命について考える機会が多くなっています。
低学年のお子さんなら、数日をかけて読み聞かせてあげて、高学年なら自分で読めると思います。
物語の最後にいうブンナの言葉を、親子でかみしめてもらいたいです。
元気をもらえる本です。