落語はドラマがきっかけで少し興味をもったのですが
なかなか日常で触れる機会がなく・・・。
こうして絵本化されたおかげで
新作落語を手軽に親子で堪能できます。
珍しく、そして楽しい体験ですね。
寄席からお題を集めて作ったという、柳家喬太郎さんの落語は
出てくるものといいい、そのストーリーといい、ちょっと変わっています。
みかんの皮やくらげ、水たまり、幼稚園バスなんかのユニークなアイテムが
大島さんの絵となることに相性がよくて、とても魅力的な絵本となっています。
繰り返しに強い落語とあって、その言葉やお話の面白さはバッチリ。
大島さんの描く、くらげと海の柔らかい絵も味わいがあり、癒されます。
はぐれた子くらげ、くらのすけのお話ですが、
なんと水たまりに落ちてきたみかんの皮をおっかさんだと勘違い。
いやー、それは無理があるでしょ〜と言うところですが、
寂しくなくて良かったなあ、という安堵のほうに気持ちがいくのは
同じ親目線だからでしょうか。
まぁ、この設定でもなんとかアリかと緩やかな気持ちで見ていたら、
なんと、おっかさんを守るためにチカラを出すくらのすけ。
滑稽なようで、意外な場面で成長し、
息子として頑張っている姿に心をつかまれます。
子どもの心の成長って、体の成長と違って見えにくく、
感じることができた際は本当に嬉しいものです。
おっかさんは誇りに感じたでしょうね。
現代の子どもへのルール・見守りは昔に比べて過剰になりました、
子どもの本当のチカラ、自立の心を、それらが阻止することもあるでしょう。
くらのすけと優しく広がる海をみて、私も背中を押される気がします。
わが子もフワフワと自由に飛び立たせる、
そんな風景を重ねてみてしまう絵本です。