グリム童話ってよく考えるとちょっと怖かったりしますよね。
この話の最後もよく考えるとかなり残酷。
日本製のアニメみたいな挿絵の絵本なんかでは、最後はかわいいタッチの絵でお茶をにごしていたりするけど、この本では、オオカミを井戸に放り込んで、「死んだ」「死んだ」って大喜びする子ヤギたちがしっかり描かれています。
ヤギの目がまたコワイ。あの独特なヤギの一文字の目がそのまま描かれているから、子ヤギもけしてかわいくない。お母さんヤギがオオカミの腹を切ってるシーンなんかほとんどサタンですよ。
この童話本来が持つ「ちょっと不気味感」が忠実に再現されていると思います。
私が小さい頃はじめて読んだこの話の本は、たしか安っぽいアニメのような絵だったんです。悲しいかな最初に読んだ本のイメージって固定されてしまいますよね。その本では子ヤギが隠れた時計は観音開きのガラス張りで、よく考えたら子ヤギ丸見え!?みたいな絵でした。(幼児に分かりやすいようになんでしょう)この本では、時計の下の箱と書かれていて、挿絵もそうなっています。そうだったのか〜と、三十路にして始めて事実を知ったのでした。
子供には、正しい西洋の文化のイメージをしっかり伝えたい。このホフマンの絵はそういう意味でも非常にクオリティが高く、中世の町や家屋もさりげなくですが写実的に描かれています。無駄なデフォルメがなく、子ヤギがやたら可愛かったり、オオカミがやたら怖そうな顔をしてるわけじゃなくて写実的です。いそうだからなおさら不気味です。
やっぱり有名な話の本は、先回りしてでもなるべく良い挿絵のものを
最初に子供の手に取らせるようにしたいものですね。