レストランひばりでコックをしているおばけのアッチに、ドラキュラの孫娘から手紙が届いた。小さなおばけを捕獲したというが、食べられそうな雰囲気なので、アッチは店を休んで救出しに行ったのだが…
ドラキュラ城が出てくると、話をする樹木があったり、挙動不審の伯爵が出て来たりと盛りだくさんでスリルがある。異界の住人で、外国にルーツがあるキャラクターなので、何をしてくるかわからない。日本の下町でのんきに生活しているアッチや、森でドラキュラに捕まったドッチなどとは一味違う、狡猾さや残酷さが垣間見えて面白い。
アッチたちが子どものイタズラ程度の悪さレベルに対して、ドラキュラ城の住人は立派な犯罪者レベルの悪さレベルを感じる。その辺が文章と絵を見ているといろいろ想像できて楽しい。
天涯孤独のアッチと、家族があるドッチでは、やはり感覚的に違うものを持っているらしい。自分の学生時代に、親がいない子がクラスにいたが、両親と一緒に暮らしている子たちとちょっと違う感性を持っていたのを思い出した。アッチはお話が始まったころから独り者だが、ドッチはどういう家庭で育っているのだろう?大事にされて世間知らずで、いいところのおばっちゃまのような雰囲気がかわいいが、せっかく助けてもらったのに冷淡な対応をしているところが苦労知らずの残酷さなのだろうか。
いづれにせよ、おばけやモンスターの世界にも家族があるようで面白かった。寂しがり屋なのに、一人暮らしのアッチはなかなか大変な人生を送っていそうだ。