表紙の絵の色使いが綺麗だなと思い手に取りました。
主人公のランフー。
背負篭をしょって、月夜の晩に、山へ草刈りに。
山道が光ってる様子に近づいてみると…。
銀色の髪のおばあさんのいうことには、
「今夜は、八月の十五夜さまで、
山の神が、月の光に金貨をさらす日じゃ。
運良くそれに出会ったから、これをあげよう。」
と、金貨を三つもらいます。
ランフーのキャラクターは、貧しい生活をしていても、特に欲張りそうでも、図々しそうでもないのですが、“光っている山道”を見てしまっては、人は皆こうなるものなのでしょうか。
ランフーが、「もう三枚」と催促するシーンの銀髪のおばあさんの表情が、『この若い衆もただの人間じゃのう〜』という、なんとも呆れた顔つきに見えました。
小川の石橋の上でのひと休みのシーンで、ランフーの冷静さを欠いた行動に、口あんぐりの息子でした。
家に着き、再び山へ引き返すあたりから、息子は、「動物たちは、入れ物を持っていないから、口にくわえてくるのかな?」と呆れ笑い。
もともこもない、いえ、篭もないエンディングに、笑えない話だと気づいた様子。
おばあさんの十五夜の話や、月がおちるシーンなど、表現がとても綺麗で、絵をとおしその情景が音付きでイメージできました。
絵もやはり私好みで、一家で朝日をうけ下山してくるページも美しかった。
自戒を込めて、息子と再読しました。