児童文学界屈指のストーリーテラー、森絵都さんの「にんきものの本」の第1作目です。
主人公は、平凡な男の子、けいたくん。バレンタインデーに同じクラスの こまつくんが27個もチョコレートをもらったのをきっかけに、こまつくんの人気者たる秘訣を探ります。
けいたくんは小学校3年生(多分)。だんだん自分が他人にどう見られているのかが気になってくる年頃です。他人にあって自分にはないものは何か、他人のどこが人に受け入れられるのかなど、難しいことも考えるようになってきます。
けいたくんの頭の中では、顔が良い、頭が良い、スポーツが得意なんてことぐらいで人気者になるなんて納得がいきません。けいたくんにとっての人気者とは「他の人には出来ない何か特別なもの」を持っているはずなのです。
その「何か」がわからず思い悩むけいたくんの姿が可笑しくもあり、微笑ましくもあります。
これから女の子達の厳しい視線にさらされていく少年達。少しその入口に差し掛かった普通の男の子の葛藤がユーモラスに描かれています。
小学校中学年位から、うふふと笑いながら読める作品です。