考えさせられる、というより、色々と考えることができる絵本ですね。賛否両論あるのもわかります。 もともと自分のものなのに、どうして分けなきゃいけないのか?それも一つの正義。一方で、自分のもっているものを皆にも分けて共有したら、独り占めしている時よりも自分も幸せな気持ちになった。それも一つの幸せのあり方。 お菓子を一人で食べるより、皆と分けた方が美味しい、というのと似ているような気がします。(お菓子と体は違う!という批判もあるかもしれませんが。) ポイントは、分ける前後の気持ちの変化に絞られるのではないでしょうか。最初の頃のにじうおは、きれいなうろこが何よりも大事でしたが、分けた後のにじうおにとっては、他の魚と一緒にいることが幸せなのであり、その時には、もはやうろこは一番大事なものではなくなっているのです。だったら、あげたことは、今となっては大したことではありません。 絵もこの絵本の大きな魅力です。にじうおの表情はほとんど変わっていないのに、背景の色などから、心境の変化が読み取れます。きらきらのうろこの美しさも、最初はにじうおに集中していたのに、最後にはページ全体に広がります。 子供に読ませるなら、あまり小さい時期ではないほうが良い気がしました。「自分の大事なものをあげたら友達ができる」と理解してしまう年齢だと早過ぎると思います。幸せとは何か?を客観的に考えることができるようになってからが良いと思います。