この絵本のテーマは「unconditional love=無条件の愛」。人を愛するときの基本で、どんな状況に置かれても相手を愛することです。極端に言ってしまえば、たとえば自分の子供が犯罪者でも子供を愛するといったようなこと。米国では子育ての基本となっているので、わたし自身読んでみてそれほど新鮮さは感じませんでした。でも、この当たり前なことの実践がなかなか難しいのかもしれませんが。
「こう子供に話しましょう」と子育て雑誌でよく見かけるアドバイスに「I love you, but I don’t like what you did.」があります。これを胸に、わたしは子供が困ったことをしたときには、いつもこのアプローチを選んだつもり。「ママ、こーちゃんが大好き。でも、こーちゃんのしたことはちょっと好きになれないな……」という具合に。子供の存在は心から認め愛するけれど、間違った行為の選択をした子供には正しい方向を明確に示す。これは当たり前の愛の実践として大切だと思っています。
日本には社会的な体裁といったようなものが米国より強く存在するので、無条件の愛の実践は困難な点もあるかもしれません。(母親であればこの愛情は誰でも共有できると思いますが、)そういった意味で、日本のお母さんたちには印象的な絵本なのかもしれないなと感じました。ただ、わたしは原文の英語表現の方が好きです。unconditional loveの概念がそのまま素直に表れていると感じます。これは日本文化には存在しにくい概念ゆえ?でしょうか。でも日本語のタイトルがいいですね。これで親たちはグッときてしまうのだと思います。