日本の昔話の再話。
良く知っているのは、つるの恩返しという題で、単純に恩を返すという物語です。
でも、この作品は恩返しを描いているものではありません。
「わたしはいつぞや、雪の道で助けていただいた鶴。
貴方のお優しい心が慕わしく、それだけを頼りに、お傍伺ったのでした。
どうぞ、末永くお幸せに」
と最後に鶴の気持ちが吐露されていますが、その恋心は、切なくてたまりません。
助けたよ平の欲にかられて変質してしまう姿との対比が、その鶴の純粋な心を更に際立たせています。
この部分は、子供には難しく大人にとっても十分に読むに値する絵本だと言えると思います。
男のずるさ、だめさ加減を思わずにはいられない気持ちになりました。
大人にも是非読んで欲しい一冊です。