まず、目をひいたのが「いやだあさまであそぶんだぃ」というタイトル。
翻訳絵本は数ありますが、これは、なんと魅力的な訳ではありませんか。
(原題は「眠ろうとしない赤ちゃん」)
夜ふかし大好きな息子は大喜び。
「いやだあさまであそぶんだぃ」と大声で何度も繰り返していました。
そして、自動車に乗って冒険の旅に出かけたぼうやが出会うものたち。
どこまでが夢か現実かわからない、なんともいえず幻想的な世界が広がります。
読みすすむ内に、自分が絵の中に入り込んだような錯覚さえ起こしました。
「とても、とても、つかれているのに、ぼうやが、ねるまでは やすめないひと」
この一言に思わず涙が出ました。
このお母さん、決して美人ではないのですが、まさに、すぐそこにいそうなお母さんなのです。
丸々太ったぼうやを、身体中でしっかり抱き締めるお母さん。
無造作にくくった髪。
ひたいにかかった縮れ毛。
少し眉間に力を入れて閉じられたまぶた。
その一枚の絵に、すっかり心を奪われてしまいました。
手元に置いて、何度も何度も読み返したくなる本です。