安元3年の秋、兄:一万(5歳)と弟:箱王(3歳)のは、父を殺された。兄弟は仇討ちを誓い、紆余曲折の末、成就させる。「曽我物語」などを資料にして、わかりやすい話にまとめた絵本。
絵を担当している太田大八氏は、いろいろな作風で多くの絵本を作っている。この作品の前には、「かさ」という前衛芸術のような絵本を鑑賞したばかりだったので、全く違う、純日本風の歴史ドラマを同じ人が描いているとは信じがたい。何でも描けて、素晴らしい。
曽我兄弟の仇討ちは、講談など、古典的な話芸で私よりも前の世代は割りと知っている人が多いらしい。私は、演芸の夢路いとし 喜味こいし「ポンポン講談」で題名だけは知っていた。元ネタになった話を読んでみたいと思ってこの絵本を手に取った。
重い話である。
親の敵を長年かけて討つ、という、現代にはない価値基準の世界や、戦争を日常的に行っていた武士の社会の様子、人間関係をうまくどうにかして権力などを得ていく人間の狡猾さなどが、しっかりと描かれている。
大人向けの話。