海外文化の急激な流入に対峙した幕末明治の日本で決定的な役割を果たした文学や伝記の翻訳書について、社会・政治的背景をも視野にいれながらテーマごとに詳述するオールカラーの「目で見る」文学史。第一巻では、主に江戸期から明治19年頃までを対象とし、十返舎一九の手になる『ガリヴァー旅行記』の翻案、河鍋暁斎らが描いたイソップ寓話の挿絵・錦絵、自由民権運動を煽動した革命小説、現代の「で・ある」文体を準備した外国語リーダーの直訳、など17のテーマから幕末明治翻訳書の実像を探求する。
【目次】 はじめに ◆第一部 江戸期 第一章 イソップ寓話 第二章 ガリヴァー旅行記 第三章 ロビンソン・クルーソー 第四章 江戸の西洋偉人伝 ◆第二部 明治期I(明治元〜十九年) 第五章 西洋の偉人と近代国家の形成 第六章 西洋に学ぶ―近代児童文学のはじまり 第七章 黎明期の翻訳文学 第八章 翻訳小説ブームの到来 第九章 西欧ミステリーとの出会い――本邦初の推理と謎解き 第十章 科学熱とSF小説・未来小説 第十一章 自由民権運動と革命小説 第十二章 新体詩 第十三章 西洋演劇の受容―シェイクスピア劇、その他 第十四章 明治前半のジャーナリズムと翻訳小説 第十五章 教育界における西洋文学の受容 第十六章 翻訳と近代文章語の形成 第十七章 翻訳文学書に見る装丁と挿絵の変遷 *** 註 あとがき 掲載図版一覧 索引(人名/書名・作品名/事項)
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