![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
宝石が持つ不思議な力の存在をどこかで耳にしたり、感じたりしたことはありますか?
「宝石達の輝き、色の美しさに、目を奪われるのも無理はございません。 でも、本当にすばらしいのは、この石達が秘めてきた力、作り上げてきた物語なのです」 そう教えてくれるのは「魔石館」の主人。
さあ、「魔石館」の扉を開いて、さまざまな宝石に秘められた物語に耳を傾けてみましょう。 今回語られるのは、次の8つの宝石の物語です。
「水晶」 魔法使いの弟子ハキームは、修業の辛さから師匠の水晶を盗んでしまう。その水晶のおかげでまたたく間に有名になったハキームだったが、ある日水晶がにごりはじめて‥‥‥。
「ルビー」 婚約者に裏切られ、返してほしいと言われたルビーの指輪に呪いをかけたエラ。呪いは叶えられるのだが、二十年後、なぜか娘の薬指にはめられていて‥‥‥。
「ベゾアール石」 大貴族ジャッフルの奴隷となり、辛い日々を送っていた奴隷アッバ。ある日山羊をさばいていると胃の中からにぎりこぶしほどもある石を見つける。この石がいかなる時にもサヌバ族としての誇りを失わなかったアッパにもたらしたものとは?
「猫目石」 舞台はエジプト。墓荒らしたちの召使いにされた十歳の少女ティシャ。ある夜、宝物を守るために数々のわなや呪いが仕掛けられているという王家の墓に入るよう命じられるが、墓の中で、仲良くしていた猫がティシャを安全な場所へと導いてくれる。その後に墓に入った墓荒らしたちには悲劇が。
「ムーンストーン」 八歳のアンティースが、祖母のいる田舎へのバカンスの際に探検した幽霊屋敷。そこにいたのは、青ざめていながらもとてもきれいで、でもどこか寂しげな若い女の幽霊。アンティースが幽霊の導きによってムーンストーンの指輪を見つけ指にはめると、悲しい過去の出来事が浮かび上がって‥‥‥。
「トルコ石」 舞台は貿易の都、ヴェネチア。異国への憧れがやまない息子トニオの身の安全を心配した母親は、占い師を訪ね、そこで、トルコ石の玉を連ねたブレスレットと、大きな丸いトルコ石が一つはまったブローチを渡される。トルコ石は旅人を守る石だということだが、果たして息子は無事に旅を終えられるのか。
「オニキスとアメジスト」 インドの都ベナレスに住む貴族の娘、アーリヤー。アーリヤーは大きな屋敷に住み、何不自由なく暮らしていたが、実は大きな悩みを持っていた。それは両親が喧嘩ばかりしていること。ある日一人の老人から、それは父のオニキスがはめこまれた腕輪と、母のアメジストがはめこまれた耳輪のせいだと聞き、耳輪をこっそり持ち出すことにしたのだが‥‥‥。
「珊瑚」 かつて十人姉妹だったという珊瑚玉、他の7話とは異なり、こちらは宝石自らが語るお話。ある華族のおじょうさまを守り続けてきた珊瑚が「魔石館」に辿り着くまでの理由が語られます。
さて、どのお話が気になりましたか? 8つの物語は最初から順に読んでも、気になる宝石や登場人物が出てくるお話から読んでも良いでしょう。心惹かれるのは、舞台となっている国や時代がそれぞれに異なるところ。ページをめくれば、たちまちのうちに未知の世界へと誘われていきます。 特に注目したいのは、石に対する登場人物のどんな行動や思いが不幸を呼ぶことになったのか、あるいは幸せを呼び込むのかというところでしょうか。さらに、それぞれの物語の最後に語られる宝石の説明や「宝石言葉」が物語を味わった後だとさらに興味深く感じられ、宝石の世界への関心が高まります。
こちらは「銭天堂」シリーズでおなじみのお話の名手、廣嶋玲子さんが紡ぐ千夜一夜の物語。いつどこで起こったか知れない異国情緒溢れる不思議な世界を繊細にかつ魅惑的に描く佐竹美保さんの挿画にもぜひご注目下さいね。
宝石に取りつかれた登場人物や特別な石と出会った主人公がはたしてどんな運命を辿るのか。その展開にハラハラさせられながらもどんどん惹きこまれてしまう魅惑のシリーズ! 第1巻の幕開けです。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
![秘密に満ちた魔石館](/images/4569788858_20190820151443_op1.jpg)
![秘密に満ちた魔石館](/images/4569788858_20190820151443_op2.jpg)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
昔も今も、人は宝石を身につけ、大切にします。それは、装飾としての美しさと、宝石のもつパワーや魔力に惹かれるからでしょう。
本書には、魔石館に横たわる、水晶、ルビー、ベゾアール石、猫目石、ムーンストーン、トルコ石、オニキス&アメジスト、珊瑚といった宝石たちが登場します。それらは、過去にさまざまな主人の持ち物になり、いろいろな経験をしてきました。
本書は、そうした宝石たちの知られざる8編の物語を紹介するものです。魔法使いの水晶玉を盗んで有名になったハキーム、山羊の胃から出てきた石を持つ奴隷アッバ、旅人を守る石を持って旅に出たトニオ……。ある時は、宝石の呪いに苦しみ、ある時は宝石の力に命を救われるなど、宝石との関わり方で、人は不幸になることも、幸せになることもあるのです。
いろんな時代・地域の、不思議なお話がスリリングに展開する、千夜一夜の物語!
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
廣嶋さんの本だったので、楽しみに読みました。宝石にまつわる短編のお話がならんでいます。不思議な石の不思議なお話に一気にひきこまれました。おもしろい! お話によって、次々とかわっていく場所や人を描いた佐竹さんの挿絵も魅力的です。石好きの大人にもおすすめかな、と。続きも早速よみたいと思います。 (あんじゅじゅさん 50代・その他の方 )
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