![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
ちいさな命が、変えたもの。出会いと別れが、つむぐもの。
親友のつばさに少し引けめを感じている、小学四年生の創太。というのも、つばさは勉強も料理もできて、おまけに人付き合いも上手、映画監督になるというおおきな夢まで持っていて、それと比べるとなんだか、自分がおいてけぼりにされている気がするのです。
「おれには、なにが、あるのかな? おれは、なにができるんだろう」
そんなおり、創太はひょんなことから2匹のメダカを飼うことになります。まわりの友だちは、創太に世話ができるわけないとあきれ顔。それもそのはず、お祭りで買った金魚も、セミもチョウチョもカブトムシも、創太はみんな、死なせてしまったのです。
「そういえば、そうだよな。 おれって、生物ものがすきなくせに、ちゃんと世話をしてこなかった」
だから次こそは! と、勢い込んでメダカの飼い方を調べる創太。まず水道水のカルキ抜きに、それから鳥に狙われないための家の準備、産卵しやすい環境づくりもしなくちゃいけないし、そのためには水草、水そう、赤玉土を用意して、水そうのお手入れは……って、あ、あれ?
「メダカの世話って、意外とたいへんじゃんか」
ひっくり返って、ぷかぷかと浮かんでいるメダカ。まさか、病気!? 弱ったメダカを元気にさせる、驚きの方法とは? 庭に置いたメダカの水そうを襲う、とつぜんの風雨! 水面を漂うことの多いメダカは、あふれた水といっしょに流れ出てしまうことも……。
メダカを飼育するたのしさや、苦労、そして創太の努力の過程がていねいに描かれているのが、みどころ! 自分には何ができるのかと悩んでいた創太が、ちいさな命と懸命に向き合うなかで、少しずつ夢をかたちにしていく姿が強く胸を打つ一冊です。
「メダカを生かすためには、ほかの生き物を殺さなきゃいけないこともある。 みんないっしょに生きていくってことは、できないもんかな?」
メダカを守り、育てるうちに、水そうにわく他の虫やメダカの餌になる生き物の命についても、想いを巡らせる創太。ちいさな命にむける思いやりが、やがては身の回りの人々を見るまなざしをも、温かいものに変えていきます。
食べる命。育つ命。生まれる命。つなぐ命──胸おどる出会いと、思わぬ別れのなかでもがく創太に、大きな声でエールを送りたくなる物語です。 メダカ姫に誓った夢へ、進め! 創太!
(堀井拓馬 小説家)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
メダカみたいな小さな命でも、ほかの命を食べて生きている。 メダカの飼育を通じて学んだ、命の尊さとは? 2匹のメダカを育てることになった小学4年生の創太。周りのみんなに「創太なんかに育てられるわけない」と言われながらも、エサやり・水かえ・水そうのそうじなど、一生懸命に取り組みます。しかし、育てていくなかで、メダカを守るためには、ほかの生き物を殺さなければいけないこともあると知って・・・・・・。 自分にできることってなんだろう? 命のつながりを考えるきっかけとなる1冊。
【もくじ】1、坂を下って/2、ペットにするなら・・・・・・/3、愛と責任/4、こけざるのつぼとはちがうが・・・・・・/5、はじめての買い物/6、自由研究のテーマ/7、雨の夜の姫七子/8、笑顔が消えた?/9、リュウコがっ!/10、後悔しても、もうおそい/11、命と命/12、メダカ姫
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
私はメダカ姫を読ませて頂いて、とても感動しました。これは命についてしっかり考えさせてくれます。私はメダカを飼育したことはありません。けれどもこのお話で2匹のメダカを育てることになった創太くんを通して、命と向き合い、命の素晴らしさを知ることができたと思います。これは何度も繰り返し、読みたくなる本です。 (水口栄一さん 60代・その他の方 )
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