世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
絵本紹介
2022.09.23
ぼくたちは、みんな知ってる。マダーニくんが最高のサッカー選手だってこと。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『あの子は ぼくらの スーパースター』。どんな内容なのでしょう?
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
毎週土曜日、マダーニくんがサッカーボールをはだしの足にとらえると、みんなが息をのむ。チームメイトだけじゃない、町中がぴたっと動きをとめる。ハトもとばない。なぜなら、マダーニくんの魔法の時間がはじまるから。
マダーニくんは、ボールを右足から左足へ、ひざの上ではずませたかと思うと、肩から肩へひょいひょい。おでこへ、背中へ、またはだしの足の上に。そして、シューーーーート! 大歓声はコートを離れ、ご近所に広がっていく。遠く離れたアパートの一室にも。
ぼくたちは、みんな知ってるよ。マダーニくんが最高のサッカー選手だってこと。時々思うんだ。「もしマダーニくんが、ちゃんとしたサッカーシューズをはいたら、どんなすごいプレーをするのかな」って。マダーニくんは、もう長いことブリキの箱にお金をためている。大事な試合の前の日、マダーニくんは練習を休んで買い物に行ってくると言う。明日こそ、マダーニくんが新しいシューズをはいてくるかもしれない。ところが次の日、マダーニくんはいつもどおりのはだしで……!?
ボールを持たせれば、一目でわかるマダーニくんの才能。けれど、チームメイトたちが彼のことを誇りに思っているのは、それだけじゃない。
コートから遠く離れたアパートで一人仕事をしているのは、マダーニくんのママ。ささやくような音にしか聞こえなくたって、マダーニくんがシュートを決めた時の歓声はすぐわかる。でも、マダーニくんは思っているのです。もっと仕事が早く終われば、試合を観ることができるのに。
少年の一途な想いと、彼をとりまく仲間や大人たちのあたたかなまなざしが胸を打つこの絵本。丁寧に描かれるマダーニくんのプレーをする姿や、その表情を見ていると、読者もまた、すっかり彼の魅力の虜になってしまいます。
スペイン生まれのこの絵本。イラストが2022年のボローニャ国際児童図書展のエキシビション展示作品に選ばれ、日本でも巡回展示されています。
一緒にいるだけで
はだしの足でボールを自在にあやつる姿は、まるでミラクル! 本当にすごいプレーをする選手というのは、たとえ子どもであっても、そこにいるだけで空気を一つにしてしまう。マダーニくんはまさにそんなサッカー選手。一緒にいるだけで誇らしい気持ちにしてくれる。だからこそ、仲間たちはマダーニくんのことをちゃんと理解し、大切に思っているんですよね。その嬉しい気持ちが、読者にもまっすぐに伝わってきます。
この書籍を作った人
作家。舞台監督。社会教育学、教育心理学を学ぶ。スペイン在住。子どもの本を10冊以上執筆している。ほかの作品に、Why do we cry ?などがある。
この書籍を作った人
スペインのイラストレーター。おさないころから絵をかきはじめる。マドリードの美術学校で学び、おもに子どもの本のイラストを手がけている。本作が2022年のボローニャ国際児童図書展のエキジビション展示作品に選ばれ、日本でも巡回展示される。
この書籍を作った人
東京生まれ。同志社大学卒業。主な翻訳絵本に『しりたがりやの ふくろうぼうや』『ケーキがやけたら、ね』『ババールの美術館』『おねがい パンダさん』『女王さまのぼうし』『あたし、うそついちゃった』『たった ひとつの ドングリが―すべての いのちを つなぐ』『まほうの さんぽみち』『この まちの どこかに』「あおい ちきゅうの いちにち」シリーズ(すべて評論社)などがある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。