のりもの好きな子大集合!
JPIC読書アドバイザークラブ主催の「第4回 親子で読んでほしい絵本大賞」で、『2ひきのカエル』が第3位に選ばれました。
この賞は、司書、読みきかせボランティアなど、子どもに絵本を手渡す経験が豊富なJRAC会員が、雑誌「この本読んで!」で紹介した過去1年間の新刊絵本400冊の中から、「親子で読んでほしい絵本」を投票で選考し、表彰するものです。ぜひ、お手に取ってごらんください。
みどころ
大きな池のまんなかの、スイレンの葉っぱの上で休んでいるのは、2ひきのカエル。片方のカエルが、なぜか大事そうに棒きれをかかえている。
「なんで また、そんな ぼうきれ かかえてるのさ?」
1ぴきのカエルが聞くと、これは犬よけ棒だと答える。犬が飛びかかってきたら、この棒でバンバーン!とやっつけると言うのだ。けれど、まわりには犬なんか来る気配もない。
「犬が池を泳いできたら、おれたち、くわれちまうぞ!」
それはそうだけど、だいたいこんな広い池のまんなかに、どうして犬が泳いでくるというのだ。それより、カワカマスやアオサギに食べられる心配をするべきなんじゃないか。
2ひきがそんな会話をくりひろげていると、背後には怪しい影が。そして、ふとした出来事をきっかけに、2ひきの周りではあっという間にとんでもない展開に……! さあ、どうなる?
大きな池を背景に、描かれているのはリアルな2ひきのカエルの姿。特別に可愛らしい訳でもなく、珍しい場所が登場する訳でもなく。特別な場面転換だってしないまま。それでも、会話を聞いているだけで、なぜだかもう目が離せない。すっかり2ひきのカエルの世界に引きこまれ、笑ってしまうのだ。大事件が起きているような、そうでもないような。
この絶妙なユーモアセンスで楽しませてくれるのは、『ひとりぼっちのかいぶつといしのうさぎ』などで知られる、イギリスの絵本作家クリス・ウォーメル。ケイト・グリーナウェイ賞最終候補、ネスレ・スマ―ティーズ賞銅賞受賞のこの作品を、絵本作家はたこうしろうさんの軽快な翻訳で楽しませてくれます。