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インタビュー

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2024.12.26

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『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』さいとうしのぶさんインタビュー

『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』が大好きな皆さん、お待たせしました! この度、『しりとりしましょ!たべものあいうえお』『おみせやさんでくださいな!』の「ことばあそびえほん」シリーズに新しい絵本が仲間入りしました。その名も『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』。カタカナだけで「あいうえお」の46音、さらに濁音と半濁音の食べ物の名前が入ったとっても楽しくボリューム満点の一冊。この絵本の魅力について、作者のさいとうしのぶさんにたっぷりお話をお聞きしました。

  • カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお

    出版社からの内容紹介

    大好評の絵本『あっちゃんあがつく』第2弾。今度はカタカナです!
    『あっちゃんあがつく』と同じく、「ア」から「ン」まで、濁音、半濁音も含めて69音が登場。各ページ、主役のたべもののほかに、同じ音ではじまるたべものや動物、乗りものなどがたくさん隠れています。全部見つけられるかな?!

この人にインタビューしました

さいとう しのぶ

さいとう しのぶ (さいとうしのぶ)

堺市に生まれる。嵯峨美術短期大学洋画科卒業。テキスタイルなどのデザイナーをへて、インターナショナルアカデミー絵本教室に学ぶ。作品には、『あっちゃんあがつく』(原案・みねよう)『しりとりしましょ!』『おしゃべりさん』『おかしなおかしなおかしのはなし』『へんてこかぞえうた 1ちゃんいちにち』『どっきりかぞえうた ちょっぴりこわいぞ』(うた・高木あきこ)『きしわだのだんじりまつり』(作・なかむらしょうこ)『たべものかるた』(原案・みねよう)─以上リーブル 『ぎゅうって』『よーい よーい よい』『あぶくたった』『おべんとうばこのうた』─以上ひさかたチャイルド『たこやきようちえん』(ポプラ社)『べべべんべんとう』(教育画劇)『おいしい おと なぁに?』(あかね書房)『まほうのでんしレンジ』(原案・たかおかまりこ ひかりのくに)『てんとうむしのはじめてのレストラン』(アリス館)『まんまるおつきさん』(作・ねじめ正一 偕成社)『おはなし だいどころ』『おはなし きょうしつ』(以上PHP研究所)『十二支のかぞえうた』(佼成出版)『子どもと楽しむ行事とあそびのえほん』(産経児童出版文化賞ニッポン放送賞受賞 のら書店)など多数。

『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』発売から23年、ついにシリーズ最新作が発売です

───『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』発売、おめでとうございます。『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』が出版されたとき「こんなに楽しいあいうえお絵本、今までになかった!」と思いましたが、今回も「こんなに楽しいカタカナ絵本があるなんて!」と驚きの一冊でした。この絵本はいつごろから作ろうと思っていたのですか?

いつ頃だったかは忘れてしまったのですが、そんなに前からではなかったと思います。2022年くらいからかな。ただ、去年1年はずっとこの絵本の絵を描いていました。

───絵を描くのに1年がかりだったんですね。描かれているたべものたちの美味しそうなビジュアルはこの絵本のみどころのひとつですが、どの食べ物を登場させるか決めるのもとても重要だと思います。

そうですね、私ひとりでは知っている食べ物も限られているので、編集部からもカタカナ名前の食べ物をたくさん挙げていただき、そこから選んでいきました。『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』を作った時にはなかったようなカタカナの食べ物も、今は出てきていて……「ユーリンチー(油淋鶏)」とか「ルーローハン」以前はそこまでメジャーじゃなかったと思います。新しい食べ物を描けるのはとても新鮮で楽しかったですね。

───カヌレも比較的新しい食べ物だと思いますが、絵を描く前から知っていましたか?

はい! 大阪では結構前からあるスイーツのイメージです。カヌレ専門店も多いですし、私も30代くらいからずっとカヌレは大好きです。

───今回、言葉で登場する食べ物以外にも、絵の中にいろいろな「ア」から「ポ」がつく食べ物が登場しますね。「この『カ』の食べ物は何だろう?」と考えるのがとても楽しかったです。

やはり『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』をそのままカタカナにしたような絵本ではつまらないなと思って、最初は「あつあつ アップルパイ」や「いそいそ イチゴパフェ」というようにオノマトペを文章につけるようにしたんです。でも、早々にすべてのページにオノマトペを入れるのは無理だ!と気づき、「うれしい ウエディングケーキ」や「からーい カレーライス」といった感じで形容詞も加えるようにしました。

文章はそれで変化をつけて、さあ、絵はどうしよう…と思ったとき『おみせやさんで くださいな!』を読んだ子どもたちが、絵の中でいっぱい絵探しをしてくれたことを思い出しました。「これだ!」と思って、頭に同じ言葉がつく食べ物を、絵の中に描き入れることにしました。 幸い、編集部の皆さんが挙げてくれたいろいろな食べ物の名前があったので、1ページに2、3個は食べ物を入れることができました。

───「イっちゃん」では「いくら」「イチゴパフェ」以外にも「インコ」「イルカ」がいたり、「ウっちゃん」では「うさぎ」「うし」「ウクレレ」などが絵の中に自然に描かれていて、どのページを開いても「何が描いてあるのかな?」とワクワクしました。

やはりそこは食べ物だけでは数が足りなくなる言葉もあるのと、1枚の絵の中になるべくバランスよく入るものを描きたいと考えて、動物を登場させました。難しい食べ物を入れるよりも、子どもが絵を見て何が描かれているか、パッと分かるかという点も大事にしました。

───取材前にそれぞれのページに描いてあるものが何か、当てっこ遊びをしてみたのですが、分かるとやっぱり楽しいですし、分からなくても誰かが正解を言い当てると「おお!」って盛り上がりました。絵を描くときに大変だったページはありますか?

「ぺっちゃん」の「ぺろっと ペペロンチーノ」は「ぺろっと」なので食べた後なんだけど、「ペペロンチーノ」だと分からないといけないというのが描いていて難しかったかな。あとは「ゲっちゃん」の「げらげら ゲソのてんぷら」もゲソの天ぷらを子どもたちに分かるように描くにはどうしたらいいかな……といろいろ考えました。「ゲ」はほかの言葉もなかなか良いのが見つからなくて「ゲート」って分かるかな……と思いながら描きましたね。

───「ゲっちゃん」のところにはほかの生き物もいろいろ登場しています。絵の中で違和感なく描かれているのがやはりすごいな……と感動しました。絵をよく見ていると「あれ、これは同じ場面かな?」と感じるものがありますが、それは意識して描かれたのですか?

描いているうちに「この場面とこの場面は同じお店にできるな」とパッとひらめくときがあって、そういうのは絵に反映させましたね。例えば「オッちゃん」と「ソっちゃん」は同じお店が舞台です。「サっちゃん」と「ラっちゃん」も同じお店ですね。

───本当だ! 「オッちゃん」の後ろに「ソーセージ」が写っていますね。あと、「サっちゃん」で出てきたサーロインステーキとサイダー、サンドイッチが「ラっちゃん」では完食されている!

他にも同じテーブルクロスだったり、テーブルだったり色や背景の小物を同じにしている絵がありますので、ぜひページを行き来して見つけてもらえたら嬉しいです。

───見るたびに発見がありそうですが、これだけ細かいと絵を描くのに1年費やしたことも納得です。

基本的に「ア」から描きはじめるのですが、「描いても描いても終わらない〜〜」と思っていましたね(苦笑)。ラ行まで描いてもまだ濁音、半濁音が残ってるし、絵を描いた後は文字も手で描いています。このカタカナの文字が意外と苦戦しました。

───カタカナはどんなところが難しかったのですか?

カタカナは、ちょっとはみ出すとか、くっつくとか、はねやはらいが、ひらがな以上に細かく決まりがあって、それが一度で見つかると良いんですが、何人の目を通してもポロっと抜け落ちてしまうものが出てきて、最後までずっと修正していたように思います。 以前、アメリカの日本語学校の生徒さんとオンラインでイベントをやったことがあったのですが、その時、生徒の皆さんが『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』を日本語の教科書のように大切にしてくださっていて。その方たちからするとカタカナってひらがな以上に理解することが難しいそうなんです。その話を聞いた時からカタカナの絵本を早く作りたいと考えていたので、文字の正確さはきちんとしたいと思って描きなおしました。

───日本の子どもたちだけでなく、言葉の絵本を求めていらっしゃる方は大勢いらっしゃいますよね。『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』の時から「を」は「てを あらおう」でしたが、コロナを経て、よりその大切さが多くの人に伝わっているかと思いました。このページの蛇口やハンドソープの形にも時の流れを感じますね。

最初は、『あっちゃんあがつく』と同じ形の蛇口を描いていたのですが、今、小学校の蛇口も新しいタイプになっているところも多いらしく、変更しました。手指の消毒用のスプレーボトルも令和ならではですね。

表紙のデザインも試行錯誤を重ねました

───ほかにも『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』で大変だったころはありますか?

実はタイトルと表紙の色がなかなか決まりませんでした。表紙のデザインは『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』をベースに進めましょうということになっていたんです。それで、背と斜めになっている部分の色を何色にするか、何度も何度も検討しました。一度、茶色でほぼ決定になりかけていたんですよ。

───茶色だと今より落ち着いた印象になりそうですね。

そうなんです。『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』と並べたときは、馴染みすぎてしまっている感じがありました。そこで、さらに検討を重ねて、今の表紙になりました。

───私たち読者は、出来上がった作品を手にしているので、全く違和感なく手に取っていますが、やはりいろいろな試行錯誤を重ねていらっしゃるんですね。タイトルも決まらなかったというのはなぜですか?

ずっと『アっちゃん アがつく たべものカタカナあいうえお』と仮のタイトルをつけて進めていました。でも、本屋さんから注文を受けるときにカタカナの「ア」の部分を変えただけだと『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』と混乱を招いてしまいます。その時、編集者のお孫さんが「『カっちゃん カがつく』にしたら?」と提案してくれて、響きもとてもよくて、タイトルが決まりました。「カっちゃん」になるまでは表紙に「カ」がつくものを入れていなかったのですが、「カレー」と「カヌレ」を追加しました。

───表紙とタイトルがそうやって決まっていったなんて、なんだか新鮮です。『カっちゃん カがつく』からは、表紙の角を丸くする加工が加えられるんですよね。

そうです。『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』も『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』も普通の絵本よりも分厚いので、本の角でお子さんがケガをされる心配が少しでも減るようにと思い、『カっちゃんカがつく』は最初から、『あっちゃんあがつく』は『カっちゃんカがつく』の発売と同時に重版をした分から、角丸の加工をしています。両方手に取ってみると、角が丸いのもとてもかわいいです。

元気の秘訣は睡眠と犬の散歩です

───さいとうしのぶさんは『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』を出版された当時から、全国各地へおはなし会やワークショップをしに飛び回っていらっしゃいますよね。

そうですね。子育て中は難しいときもありましたが、今は土日はほぼ声をかけていただいた土地へ出かけています。20年続けていると『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』の時に子どもだった方が、大人になって今度は子どもと一緒にワークショップに参加してくれるということも本当に多いです。

───もともと『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』が生まれたのも、学童の指導員として子どもたちと接していたことがきっかけだったんですよね。その時の子どもたちとは今でも交流はありますか?

どの子も、途中に反抗期とかを挟むので、遠のいていた期間もあるのですが、親になってふっと戻ってきてくれる子が多くて……。ついこの間のイベントでも、親子で遊びに来てくれたり、三世代で参加してくれるご家族もいらして、再会すると本当にうれしく、懐かしくてついつい話し込んじゃいますね(笑)。

───絵本ナビで最初にインタビューをさせていただいたのが2012年で、その時、息子さんが小学校中学年くらいだったと思います。さいとうさんが児童書を読み聞かせているというお話がとても印象的でした。

その彼はもう大人になりました。最後に読み聞かせをしたのが6年生で「リンの谷のローワン」シリーズ(あすなろ書房)。そのあと自分で読むようになって、『ぼくらの七日間戦争』を読んだ後、彼は反抗期に入りました(笑)。

───反抗期はどのお子さんも通る道なんですね。

でもそれまでは、いわむらかずおさんの「14ひきの」シリーズや「大どろぼうホッツェンプロッツ」シリーズなど、絵本も児童書もいろいろな作品を一緒に楽しみました。読み聞かせをしているときは、ずっと続くような気持でいたんですが、あっという間に終わっちゃいます。早い、早いです本当に。だからワークショップでわらべ歌を歌ったり、絵本を読んだりしているとき、「この時間は一瞬なんだよ〜」って思いながら、参加してくださっているご家族を見ています。

───平日は創作、休日にワークショップに出かけられていて、とてもパワフルに活動を続けられていらっしゃいますが、日頃気を付けていることはありますか?

睡眠です。『ねこすけくん なんじにねたん?』を作ったときに、睡眠教育「みんいく」の講演会に来てくださった先生に診察していただいて睡眠改善をしたんです。そうしたらすごく元気になって、疲れもたまりにくくなりました。あとは24年一緒にいたネコが亡くなって、今、犬を飼っているのですが、犬の散歩に朝晩40分くらい歩くので運動不足も解消されたことも元気の秘訣になっているかなと思います。

───どんな犬種のワンちゃんなんですか?

ビションフリーゼとチワワのミックスの小型犬です。ちょうど『わんわん ばあ!』(PHP研究所)が11月に出たのですが、我が家の犬がモデルになっています。

───白くてふわふわでかわいいワンちゃんですね! 11月に『わんわん ばあ!』、12月に『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』と立て続けに新刊が出版されていますね。そして年末年始はかるたのメインシーズン『たべものかるた あっちゃんあがつく』の出番ですね。

1年があっという間に過ぎていきますね。『たべものかるた あっちゃんあがつく』も発売してもう17年くらいになりますね。このかるたを作るときも、いろいろ試行錯誤しました。その当時一般的だったかるたの箱ってちょっと紙が薄くて、子どもが踏んだらぺちゃんとつぶれてしまいそうだったんです。なので、編集部の方に「海外のお菓子の箱のような丈夫な箱にしたいです!」と無理を言って、丈夫な箱を用意してもらいました。

───たしかに箱がしっかりとしていて、安心感がありますね。いずれ『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』も、かるたになるのでしょうか?

カタカナかるた! 全く考えていませんでしたが、カタカナだけの食べ物かるたも新鮮ですね。もしかしたらカタカナかるたも生まれるかもしれません。

───実現したら『たべものかるた あっちゃんあがつく』と交互に楽しみたいです。今日はいろいろな話をお聞かせいただき、ありがとうございました。最後に読者の方へメッセージをお願いします。

『カっちゃんカがつく たべものカタカナあいうえお』が発売されました。文章は本当にシンプルなので、親子で見ていただけたら嬉しいです。ページをめくりながら探し絵をしていただいても楽しいですし、「これ食べたことないね」とか「これ好きだよね」と、家族で絵本を囲んでコミュニケーションを楽しんでもらえてら嬉しいです。

───ありがとうございました。

【取材協力】 青猫書房

2024年11月27日〜12月23日まで『おみせやさんでくださいな!』絵本原画展が東京北区の絵本専門書店「青猫書房」で開催されました。 ※現在原画展は終了しています。

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